第845回 い な づ ま 句 会
俳誌「かつらぎ」主宰 森田純一郎先生 指導
令和4年12月21日
兼題 ・ 当 季 雑 詠 五 句
選 者 吟
着ぶくれてスクランブルをすり抜くる
毎日が納め句座とはなりにけり
着ぶくれて雨の堂島さまよへり
寒の雨溜めて堂島川暗し
朝時雨ロンドンらしくなりにけり
いなづま句抄
〇冬銀河七千尺の露天温泉に 冨山 勝幸
〇落書もある農具小屋注連飾る 難波 正行
〇日に包まれゐたる寝心地干蒲団 木下 貴友
〇ダンボールなる馬小屋や聖夜劇 広田 祝世
〇堂内も湯気また湯気や大根焚 東代 舞
〇五箇山の高階泊てば虎落笛 出店智惠呼
〇建て付けの悪き老舗や牡丹鍋 奥村 恵子
〇はふはふと息吹き食ぶる大根焚 友岡 淑子
〇舟着場沈むもありて蘆茂る 前野美枝子
冬夕焼け葉のなき桐の黒き幹 留岡 寛
グッズ履く女人の多し年の暮れ 野尻 弘輔
(〇印選者選)
(注)
納め句座(おさめくざ):年末に行われる、座の文学である俳句会のこと(季語)
冬銀河(ふゆぎんが):冬の夜空にかかる天の川のこと(季語)、「天の川」は秋の季語
露天温泉(ろてんゆ):標高2100メートルにある露天風呂、白馬鑓温泉でのこと
聖夜劇(せいやげき):15・6世紀のヨーロッパで行われた素朴な劇で、クリスマス・イブに行われる(季語)
大根焚(だいこたき):鳴滝を訪れた親鸞上人を村人が大根煮でもてなしたという故事にちなみ、
了徳寺など京都の寺院で冬に行われる行事(季語)
虎落笛(もがりぶえ):「虎落」とは竹を立て並べて作った柵や竹垣のことで、厳寒の夜空を風がヒューヒューと音を立てて渡ること(季語)